受診・予約について
Q1.
紹介状を持っていませんが受診できますか?開く+A1.
原則として紹介状(診療情報提供書)等が必要です。紹介状(診療情報提供書)は、患者様の状況を一番把握されている現在の主治医に書いていただいて下さい。
なお、受診に際しては予約も必要です。
Q2.
予約をしていませんが、受診できますか?開く+A2.
原則として予約が必要です。
当センターの受診は完全予約制となり、予約は当センター/医療連携担当が受け付けています。紹介元医療機関の(地域)医療連携室のご担当者様や看護師等に予約申込をお願いしてください。
Q3.
受診するにはどうしたらよいですか?開く+A3.
主治医に「大阪重粒子線センターで重粒子線治療を受けたい」「大阪重粒子線センターで重粒子線治療の話を聞きたい」とご相談いただき、紹介状等をご準備いただいてください。
【ご用意いただきたい資料】
・診療情報提供書(紹介状)
・画像CD-R及び読影所見 (腫瘍の経時的変化が分かる画像検査のCD-R及び読影所見)
・採血結果 (腫瘍マーカーの推移、直近の尿素窒素・クレアチニンの値、感染症に関する情報がわかる採血結果)
・病理所見
当センターの受診は完全予約制となり、予約は当センター/医療連携担当が受け付けています。紹介元医療機関の(地域)医療連携室のご担当者様や看護師等に予約申込をお願いしてください。「FAX用受診予約申込書(Excel/PDF)」は、当センターのホームぺージから紹介元医療機関のご担当者様にてダウンロードいただき、申込手順にそってお申込みください。
ご不明な点やご質問等ございましたら、紹介元医療機関のご担当者様から、当センター/医療連携担当にお問い合わせをお願いいたします。(代表TEL:06-6947-3210)
Q4.
セカンドオピニオンを受けるにはどうしたらよいですか?開く+A4.
基本的に、受診予約の流れやご用意いただきたい資料は一緒です。主治医の先生にご相談の上、所定の書類(診療情報提供書・採血結果・CT/MRI/PETの画像CD-R及び所見・病理所見等)をご用意いただき、病院の(地域)医療連携室を通してお申込み下さい。
セカンドオピニオン受診は必ずしも患者様本人でなくともかまいません。ご家族様のみでも、相談を受けることが可能ですが、セカンドオピニオン時に当センターの医師がこれまでの経過や病状等について質問することがありますので、既往歴(今までにかかった病気、手術など治療歴)・症状・ADL等、経過をよくわかっているほうがスムーズにすすみます。医師は、今までの経過や画像などを参考にしながら、患者様の今後の治療法について重粒子線治療を含めて参考となる情報・意見を提供致します。
治療について
Q1.
重粒子線治療は誰でも受けることができますか?開く+A1.
以下の場合、重粒子線治療の適応となりません。
・全身に多発転移(>3個)したがん
・白血病など血液がん、全身に広がったがん
・胃がん、大腸がんなど、蠕動運動を伴う臓器の疾患
・すでに他の良好な治療法が確立しているがんQ2.
どのようながんが治療の対象となりますか?開く+A2.
すべてのがんが重粒子線治療の対象ではありません。
当センターでは、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)で決定された統一の方針(先進医療適応症)(保険診療適応症)に基づいて、下記の疾患の治療を行います。
<保険適用(2018年4月1日時点)>
・切除非適応の骨軟部腫瘍(骨や筋肉、血管、皮下組織などの軟部に発生する腫瘍)
・限局性前立腺がん
・頭頸部がんの一部
<先進医療>
・肺・縦隔腫瘍
・消化管腫瘍
・肝胆膵腫瘍
・泌尿器腫瘍
・乳腺・婦人科腫瘍
・転移性腫瘍(肺、肝、リンパ節で1~3個)
頭蓋底腫瘍(治療回数:16回)
頭蓋底腫瘍とは
頭蓋内外の最も深部、頭の中心部に発生する腫瘍を総称して頭蓋底腫瘍と呼びます。腫瘍はいずれも深部にでき、多くの重要な神経や主要な血管などに隣接、あるいは癒着していることが多く、手術が難しい部分です。頭蓋底腫瘍の中には放射線抵抗性の腫瘍もあります。
治療対象となる病態・条件
- ■手術が不可能な場合や手術で完全に摘出できない場合。
- ■リンパ節転移・遠隔転移を有さない原発性頭蓋底腫瘍(脊索腫、軟骨肉腫など)。
- ■第2頸椎以上の頭蓋底腫瘍。
- ■CT・MRIにて腫瘍の計測が可能であること。
治療に際しての留意点
重要な神経や臓器が密集する場所のため、診察時に詳しい説明を行います。
予想される副作用
照射部位により、種々の脳神経障害が出現することがあります。
有害事象については、各腫瘍と脳、視神経、顎骨などの重要な器官の位置によって異なるため、これらの有害事象の可能性については診察時に説明します。プロトコール
頭頸部がん(治療回数:16回)
頭頸部がんとは
頭頸部とは、脳より下、鎖骨より上の部分をいい、眼・鼻・口・耳・喉などがこれに含まれます。頭頸部にできるがんはがん全体の5%程度と言われますが、形態的に複雑で重要な臓器が多く含まれるため、それぞれの部位、がんの特徴に応じた治療が必要です。
頭頸部がんは、大きく分けると、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんに分類されます。現在の重粒子線治療の対象は非扁平上皮癌及び涙腺癌、頭頸部粘膜悪性黒色腫、手術非適応の聴器・鼻副鼻腔の扁平上皮癌です。頭頸部がん治療において、放射線治療は、機能や形態を温存できるという利点があります。重粒子線治療では、さらに病変に限局した照射が可能であり、治療成績の向上だけでなく、治療による晩期障害を軽減できる可能性があります。また、従来の放射線や化学療法に抵抗性のがん種にも効果が高いとされています。
実際の治療方法は、腫瘍の発生場所、病理的組織診断、進行度によって異なりますが、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的治療を行うこともあります。
治療対象となる病態・条件
- ■組織学的に診断された頭頸部非扁平上皮癌および涙腺癌、手術非適応の頭頸部粘膜悪性黒色腫及び脈絡膜悪性黒色腫、手術非適応の聴器・鼻副鼻腔の原発扁平上皮癌であること。
- ■ほかの臓器やリンパ節への転移がなく、単一の照射野に全病巣が入る大きさであること。(N0M0ならびに同一照射野に含める事が可能なN1M0症例。)
- ■CTやMRIにて腫瘍の計測が可能であること。
- ■手術非適応症例や術後再発、残存症例。
治療に際しての留意点
副作用は、病巣の部位、進行状況により異なるため、診察時に詳しく説明します。
予想される副作用
治療中は、主に治療部位に含まれる正常組織(皮膚、粘膜など)に有害反応が出現します。(例:口腔及び咽頭粘膜炎、皮膚炎、唾液分泌障害、中耳炎など)特に治療後2~4週間までは局所の観察をよく行う必要があります。
また、治療3ヶ月以降の晩期の副作用として、治療部位に応じて種々の症状(視神経炎、骨髄炎、骨壊死、筋肉の線維化等)が出現することがあります。
有害事象については、各腫瘍と脳、視神経、顎骨などの重要な器官の位置によって異なるため、これらの有害事象の可能性については診察時に説明します。
プロトコール
限局性肺がん(治療回数目安:1~16回)
肺がんとは
肺がんとは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。
進行すると、がん細胞が周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れに乗って広がっていきます。転移しやすい場所は、リンパ節、脳、肝臓、副腎、骨です。肺がんは、がん細胞の形態によって、いくつかの種類がありますが、肺に限局したⅠ期非小細胞肺がんの場合、重粒子線治療では、約1週間の外来通院での治療が可能です。
治療対象となる病態・条件
- ■組織診または細胞診で証明された非小細胞肺癌。
- ■手術非適応、または患者様が手術を希望しない場合。
- ■臨床病期I期およびcT2b-T3N0M0(TNM分類第8版)。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、同室CTにて位置を確認する場合があります。
他の部位の治療の際にもご留意いただきますが、治療中、治療後とも禁煙が必要です。予想される副作用
主に、皮膚、胸壁・肋骨、肺・気管支、食道に有害反応が出現する可能性があります。(例:皮膚炎、肺炎、食道炎など)
プロトコール
局所進行非小細胞肺がん(治療回数:16回)
肺がんとは
肺がんとは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。
進行すると、がん細胞が周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れに乗って広がっていきます。転移しやすい場所は、リンパ節、脳、肝臓、副腎、骨です。肺がんは、がん細胞の形態によって、いくつかの種類がありますが、肺に局所進行非小細胞肺がんの場合、重粒子線治療では、約4週間の外来通院での治療が可能です。
治療対象となる病態・条件
- ■臨床病期Ⅱ、Ⅲ期の非小細胞肺がん。
- ■心、大血管、気管、食道への浸潤がないこと。
- ■年齢その他の理由により化学療法ができない、または化学療法拒否例。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、同室CTにて位置を確認する場合があります。
他の部位の治療の際にもご留意いただきますが、治療中、治療後とも禁煙が必要です。予想される副作用
主に、皮膚、胸壁・肋骨、肺・気管支、食道に有害反応が出現する可能性があります。(例:皮膚炎、肺炎、食道炎など)
プロトコール
食道がん(治療回数目安:12回)
食道がんとは
食道がんは、食道の粘膜から発生する悪性腫瘍で、主に扁平上皮癌と腺癌の2種類のタイプがあります。扁平上皮癌は、食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。一方、腺癌は胃酸が食道に逆流することによって起こる逆流性食道炎を背景として起こることが多く、欧米では食道がんの半数以上を占めています。日本では、食道がんの90%以上が扁平上皮癌です。
重粒子線治療は、食道がんへの治療効果を保ったまま、脊髄、肺、心臓という重要臓器への副作用を減らすことができます。
治療対象となる病態・条件
- ■手術適応外または手術拒否例のStageⅠ。
治療に際しての留意点
治療後、一定期間は禁酒が必要です。
より精密に照射するために、食道にクリップをつける場合があります。予想される副作用
治療中の副作用として、皮膚炎、食道炎があります。特に放射線による食道炎は程度の差はありますが、必ず生じます。
治療後の副作用として、食道潰瘍、食道狭窄、食道穿孔、放射線肺臓炎、心機能障害などが起こりえます。
プロトコール
肝臓がん(治療回数目安:2~4回)
肝臓がんとは
肝臓のがんは、肝臓にできた「原発性肝癌」と別の臓器から転移した「転移性肝癌」に大別されます。「原発性肝癌」には、肝臓の細胞ががんになる「肝細胞癌」と、胆汁を十二指腸に流す管(胆管)の細胞ががんになる「胆管癌」などがあります。日本では「原発性肝癌」の90%を「肝細胞癌」が占めます。
肝臓癌(肝細胞癌)の多くは、肝炎ウイルス(B型、C型)の感染による慢性肝炎や肝硬変が背景にあります。重粒子線治療は、がんに集中的に放射線を照射するため治療効果が高く、正常な肝臓へのダメージが小さいため肝機能の低下が起こりづらい治療法です。長年の肝炎や肝硬変により、肝臓自体ががんを発症しやすい状態となっているため、他の部位に新しくがんができることがあり、専門医による治療後の経過観察が必要です。
治療対象となる病態・条件
- ■組織学的または臨床的に肝細胞癌(HCC)あるいは肝内胆管癌と診断されていること。
- ■肝機能がある程度保たれていること。(Child-Pugh分類がAまたはB)
- ■他臓器転移がなく限局性の病変(径12cm以下)であること。
- ■腫瘍の近くに消化管が存在しないこと。
- ■未治療あるいは、治療対象病変への前治療から1ヶ月以上が経過しており、画像上残存ないし再発が確認できていること。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、肝臓に数ミリの金マーカーを挿入する場合があります。挿入施術に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談のうえ決定します。
予想される副作用
皮膚・皮下組織、肋骨、消化管、肝機能に有害反応が出現する可能性があります。(例:皮膚炎、消化管出血、肋骨骨折など)
プロトコール
腎臓がん(治療回数目安:12回)
腎臓がんとは
腎細胞がんは、腎臓にできるがんのうち、腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものです。同じ腎臓にできたがんでも、腎盂にある細胞ががん化したものは「腎盂がん」と呼ばれ、腎細胞がんとは区別されます。腎細胞がんと腎盂がんでは、がんの性質や治療法が異なるためです。なお、一般的に「腎がん」とは腎細胞がんのことをいいます。
治療対象となる病態・条件
- ■組織学的または臨床的に腎細胞癌と診断されていること。
- ■健常側の腎機能がある程度保たれていること。
- ■他臓器転移がなく限局性の病変であること。
- ■腫瘍の近くに消化管が存在しないこと。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、腎臓に数ミリの金マーカーを挿入したり、同室CTにて位置を確認する場合があります。
予想される副作用
皮膚と腹壁、消化管、肝機能、膵臓、腎臓に有害反応が出現する可能性があります。有害事象としては、血液毒性、食欲不振、消化管潰瘍・出血、血尿、腫瘍内感染が予測されます。
膵臓がん(治療回数目安:12回)
膵臓がんとは
膵臓にできるがんのうち90%以上は、膵管の細胞にできます。これを膵管がんといい、膵臓がんとは、通常この膵管がんのことを指します。
局所進行膵癌の重粒子線治療の場合、原則として化学療法との併用を行います。治療対象となる病態・条件
- ■病理組織学的または画像により診断された臨床病期(UICC 8th)I, IIA, IIB, III期の浸潤性膵管癌であること(注1)。
- ■病期あるいは合併症等の理由により切除非適応と判断されていること。
- ■主要臓器の機能が保たれていること。
- ■消化管に近接していないこと。
- ■胃十二指腸潰瘍がないこと(潰瘍瘢痕は除く)。
- ■胆管内に金属製ステントの留置がないこと。(必要ならプラスチックステントに入れ替え。)
- 注1:病理組織診断がついていることが望ましい。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、膵臓に数ミリのマーカーを挿入する場合があります。挿入施術に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談のうえ決定します。
予想される副作用
皮膚と腹壁、消化管、肝機能、膵臓、胆道に有害反応が出現する可能性があります。有害事象としては、血液毒性、食欲不振、胃潰瘍・出血、腫瘍内感染、胆管狭窄が予測されます。
プロトコール
局所進行子宮頸がん(治療回数目安:20回)
子宮頸がんとは
婦人科のがんで最も多い子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮体がんは子宮内膜がんともよばれ、胎児を育てる子宮体部の内側にある子宮内膜から発生します。一方、子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部とよばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいがんです。進行すると治療が難しいですが、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんです。
治療対象となる病態・条件
- ■組織学的に腺癌または腺扁平上皮癌または扁平上皮癌と診断されていること。
- ■FIGO臨床病期IIA期-IIIB期。
- ■扁平上皮癌の場合は、腫瘍径6cm以上(注1)。
- ■腹部CTで腹部傍大動脈領域に短径1cm以上のリンパ節腫大がないこと。
- ■手術や化学療法の既往がないこと。
- 注1:腺癌または腺扁平上皮癌では腫瘍径の下限値はなし。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、排便・排尿をコントロールする場合があります。
予想される副作用
頻尿、血尿、血便など、主に照射範囲内と周囲に存在する臓器(膀胱や尿道、直腸)に出現します。
プロトコール
前立腺がん(治療回数目安:12回)
前立腺がんとは
前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。早期に発見すれば治癒することが可能です。また、多くの場合、比較的ゆっくり進行します。近くのリンパ節や骨に転移することが多いですが、肺、肝臓などに転移することもあります。
治療対象となる病態・条件
- ■T1c-T3N0M0(臓器転移、リンパ節転移がないこと)もしくはT4(膀胱頸部浸潤)N0M0の原発性前立腺癌。
- ■病理組織学検査によるGleason Scoreが明らかであること。
- ■生検前のPSA値が明らかであること。
- ■病巣の状態によって、低・中・高リスク群に分類されるが、中・高リスク群の場合はホルモン療法を併用。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、前立腺に数ミリの金マーカーを挿入する場合があります。金マーカー留置術に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談のうえ決定します。
中リスク群の場合、0~6ヶ月のホルモン療法後に重粒子線治療を行います。高リスク群の場合、6ヶ月のホルモン療法後に重粒子線治療を行い、重粒子線治療後1年半ホルモン療法を継続いただきます。ホルモン療法は主治医のもとで行っていただきます。
予想される副作用
頻尿、血尿、血便など、主に照射範囲内と周囲に存在する臓器(膀胱や尿道、直腸)に出現します。
プロトコール
大腸がん術後再発(治療回数目安:16回)
大腸がんとは
大腸がんは、長さ約2mの大腸(盲腸・結腸・直腸)に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸粘膜の細胞から発生し、腺腫(せんしゅ)という良性のポリープの一部ががん化して発生したものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。粘膜の表面から発生したあと、大腸の壁に次第に深く侵入していき、進行するにつれてリンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。治療対象となる病態・条件
- ■原発性大腸癌切除後の組織学的もしくは臨床的に診断された骨盤内に限局する再発病変であること。
- ■骨盤外に明らかな再発病変を有さないこと。
- ■再発病変に対し治癒切除の適応外または手術を希望しない場合。
- ■主要臓器機能が保たれていること。
- ■消化管に近接していない。
- ■吻合部再発でないこと。
- ■照射領域に開放創あるいは活動性で難治性の感染を有さないこと。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、同室CTにて位置を確認する場合があります。
消化管に近接している場合は吸収性スペーサーを挿入する場合があります。挿入施術に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談のうえ決定します。予想される副作用
主に、治療部位に含まれる皮膚、尿路、神経、骨、消化管などに有害反応が出現する可能性があります。腫瘍近傍組織に難治性潰瘍、出血等が出現する場合があります。
プロトコール
骨軟部腫瘍(治療回数目安:16回)
骨軟部腫瘍とは
骨軟部腫瘍は、骨から発生する骨腫瘍と筋肉・脂肪・神経・血管などの軟部組織から発生する軟部腫瘍の総称です。悪性原発性骨軟部腫瘍は「骨軟部肉腫」ともいわれ、代表的な病名としては、脊索腫、骨肉腫や脂肪肉腫などが挙がります。肉腫は、手足、胴体、頭頸部、おなかの中など、体のいろいろな部位に発生します。
治療対象となる病態・条件
- ■組織学的に診断された原発性悪性骨軟部腫瘍(注1)、もしくはそれに準ずる腫瘍(注2)。
- ■N0M0症例。
- ■腫瘍の計測が可能であること。
- ■根治的切除非適応であること。(専門医が根治的手術不能と判断した症例、または患者様が切除を拒否した場合)
- ■前治療-術後再発は治療可能。化学療法施行例では、重粒子線治療開始までに2週間の間隔があいていること。
- ■照射領域に金属固定器具等の治療計画(線量計画)に影響を及ぼす人工物を有さないこと。
- 注1:全身の骨・関節および軟部組織より発生する非上皮性悪性腫瘍。
例:骨肉腫、軟骨肉腫、MFH、MPNST、滑膜肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫など。 - 注2:例:脊索腫、再発を繰り返す骨芽細胞腫、デスモイドなど。
治療に際しての留意点
照射領域に金属固定器具等がある場合、その一部あるいは全てを治療計画(線量計画)に影響を及ぼさないように外す場合があります。また、消化管に近接している場合は吸収性スペーサーを挿入する場合があります。挿入に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談の上決定します。
予想される副作用
主に治療部位に含まれる正常組織(皮膚、神経、骨など)、ならびに腫瘍と近接する臓器(消化管など)に有害反応が出現する可能性があります。
プロトコール
リンパ節転移(治療回数目安:12回)
リンパ節転移とは
消化器癌、肺癌、食道癌、婦人科癌などのリンパ節転移のことです。
治療対象となる病態・条件
- ■上記疾患の3個以下のリンパ節転移(1つの照射野に含めることができること)で以下の部位が含まれる:深頸部リンパ節、胸部リンパ節、腹部リンパ節、骨盤リンパ節。
- ■原発巣が手術や放射線治療等を行い、再発や残存がないこと。
- ■その他に転移がないこと。
治療に際しての留意点
より精密に照射するために、同室CTにて位置を確認する場合があります。
消化管に近接している場合はスペーサーを挿入する場合があります。挿入に関しては、当センターの担当医や主治医や関連医療機関の医師と相談のうえ決定します。予想される副作用
主に治療部位に含まれる正常組織(皮膚、神経、骨など)、ならびに腫瘍と近接する臓器(消化管など)に有害反応が出現する可能性があります。
■治療に要する日数・期間の目安
疾患名 回数(目安) 期間(目安) 適用 頭頸部腫瘍
(頭蓋底腫瘍を含む)(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)16回 4週間 保険適用 食道がん 12回 3週間 先進医療 肺がん
(Ⅰ期非小細胞肺がん)4回 1週間 先進医療 転移性肺がん
(3個以下)12回 3週間 先進医療 肝細胞がん※
(長径4cm以上)4回又は
12回1週間又は
3週間保険適用 肝細胞がん
(長径4cm未満)4回又は
12回1週間又は
3週間先進医療 肝内胆管癌※ 4回又は
12回1週間又は
3週間保険適用 転移性肝がん
(3個以下)12回 3週間 先進医療 膵臓がん※ 12回 3週間 保険適用 腎臓がん 12回 3週間 先進医療 大腸がん術後再発※ 16回 4週間 保険適用 子宮頸部腺がん※ 20回 5週間 保険適用 子宮がん
(頸部腺がん以外)20回 5週間 先進医療 前立腺がん
(転移のないもの)12回 3週間 保険適用 骨軟部腫瘍※ 16回 4週間 保険適用 リンパ節転移
(3個以下)12回 3週間 先進医療 ※手術による根治的な治療方法が困難であるものに限ります。
Q3.
肺気腫があっても肺がんの治療はできますか?開く+A3.
重粒子線治療は、正常な組織に当たる放射線の量を少なくし、がんだけを集中的に狙いうちすることができるため、肺気腫をもつ患者様に治療を行っても、呼吸機能低下のリスクが低くなります。
ただし、肺気腫の状態等によっては、治療をおすすめできない場合もございます。
Q4.
ペースメーカーが留置されていても治療はできますか?開く+A4.
腹部や骨盤の腫瘍なら治療が行えますが、胸部の場合は治療を行うことが困難です。その他については別途ご相談ください。
ペースメーカーが留置されている場合は、当センター初診時にペースメーカー手帳をご持参ください。Q5.
乳がんは治療できますか?開く+A5.
基本的に乳がんの治療は手術が第一選択となりますが、従来のX線治療と比較して重粒子線治療は、病変に集中して根治的な線量を照射することができるので、メスを一切入れずに乳がんを治療できる可能性があると考えられ、放射線医学総合研究所(千葉県)では2013年から重粒子線治療による早期乳がん患者を対象にした臨床試験を開始されました。2017年末までに23例の治療が終了しています。
詳しくは、放射線医学総合研究所病院のホームページをご覧ください。
当院では治療できません。Q6.
放射線治療歴がある場合でも、重粒子線治療は受けられますか?開く+A6.
治療を行う部位と全く同じ部位に放射線治療を行っていた場合、その部位に対する重粒子線治療を行うことは難しい場合が多いです。
重粒子線治療適応の可否につきましては、当センターの医師やキャンサーボードにて慎重に判断致します。Q7.
がんが転移していても治療できますか?開く+A7.
がんが転移していても下記の何れかに当てはまる場合、治療できる可能性があります。
・肺転移(3個以内)しかない場合
・肝転移(3個以内)しかない場合
・リンパ節転移しかない場合
複数の転移病巣がある場合(例えば肺転移と肝転移がある場合など)、重粒子線治療はできません。全身的治療を優先する必要があると考えられます。Q8.
子供と大人では治療は異なりますか?開く+A8.
治療のやり方そのものは、子供と大人で異なりません。Q9.
治療をうけるのに年齢制限はありますか?開く+A9.
基本的に12歳以上からで、上限は特にございませんが、安静な状態で(ベッドの上で)30分から1時間程度じっと動かないようにできることが条件となります。Q10.
X線治療と重粒子線治療は何が違うのですか?開く+A10.
重粒子線治療も放射線治療の一種ですが、X線治療と重粒子線治療では「放射線量の集中性」と「生物学的効果(がんを殺す力)」が異なります。
【放射線量の集中性】
従来から放射線治療に用いられるX線の場合、体の表面近くでその効果が最大となり、その後はエネルギーを出しながら体を通り抜けます。一方、重粒子線は、体の表面の放射線の量が少なく、粒子が停止する直前でエネルギーがピークになる(ブラッグピーク)という特性があります。このピークになる深さをがん病巣の位置に合わせることで、正常な組織に当たる放射線の量を少なくし、がんだけを集中的に狙いうちすることができます。また、体の深いところにあるがんに対する治療効果も期待できます。
【生物学的効果(がんを殺す力)】
がんの治療に用いられる放射線は、がん細胞のDNAに分子レベルで傷をつけ、細胞分裂ができないようにして、がんを死滅へと導きます。その作用が強く働くのが重粒子線です。
粒子には重さがあり、とくに重い粒子を高速で加速したのが重粒子線なので、がん細胞にぶつかれば強い生物学的効果(がんを殺す力)を示します。
重粒子線は、生物学的効果(がんを殺す力)が優れているため、通常の放射線治療に抵抗性であるがんにも有効となる可能性が高いという特徴があります。Q11.
治療中に入院の必要はありますか?開く+A11.
重粒子線治療は身体の負担が少ない治療のため、外来通院での治療が可能です。
ただし、治療内容や病気によっては、紹介元病院や近隣医療機関に入院の上、治療をお願いする場合がございます。Q12.
1回の治療時間はどれぐらいですか?開く+A12.
実際に重粒子線が照射される時間は5~20分程度ですが、治療室に入ってから出るまでの時間は、更衣や照射前の位置決め等を含め15~120分くらいとさまざまです。
肺癌、肝臓癌、骨軟部腫瘍、膵臓癌の一部など、呼吸に合わせた治療を行う場合は、少し時間がかかります。Q13.
治療にはどれくらいの期間がかかりますか?開く+A13.
治療期間は、それぞれのがんによって異なります。
重粒子線治療は、がんに対して致死効果の高い放射線を集中して投与することが出来るため、1回あたりの放射線の量を高くしてその分照射回数を減らすことが可能です。
当センターでは1回~20回(1日~1ヶ月程度)の治療を行う予定です。
Q14.
治療中に痛みを感じることはありますか?開く+A14.
照射そのもので痛みや熱さを感じることはありません。Q15.
治療中に髪が抜けるなどの副作用(治療に対する有害反応)はありますか?開く+A15.
照射部位の脱毛はありますが、照射されていない部位の脱毛はありません。
重粒子線治療では、がんを含む限られた範囲に必要な量だけ照射することができるため、一般の放射線治療に比べ、かなり副作用は少ないですが、副作用が全くないとはいえません。治療部位、照射方向、照射線量によって副作用の症状は異なりますし、同じ様な治療計画でも、副作用の現れ方には個人差がありますので、治療を決める前のインフォームドコンセント時に、起こりうる副作用や副作用が起こった場合の対処法などについて担当医・看護師等から詳しくご説明させていただきます。Q16.
治療の副作用がない場合、治療の効果もないのでしょうか?開く+A16.
治療の効果と副作用の程度は必ずしも比例するものではありません。
副作用がないからといって「治療が効いていないのでは?」と心配する必要もありませんし、同じ部位のがんであっても、照射範囲や治療計画は患者様毎に異なり、いつ、どこに、どのような副作用が出るかは個人差がありますので、ほかの患者様と比較する必要もございません。Q17.
治療を途中でやめてもいいですか?開く+A17.
治療を途中で中止した場合、がん細胞が重粒子線によるダメージから回復してしまい、大きく治療効果が下がってしまいます。
治療期間中どうしても都合が悪く、通院治療ができない日がある場合、事前におわかりでしたら、治療開始前に当センターの医師にご相談ください。Q18.
治療中の喫煙や飲酒は可能ですか?開く+A18.
頭頸部がんや肺がんでは、放射線治療中に喫煙を続けると副作用が増強し、また治療効果が低下すると言われています。その他のがんでも副作用が強まる場合もあるため、治療をきっかけに禁煙されることをおすすめします。
飲酒については、治療による腫瘍や正常組織の浮腫を増悪させるリスクを高めるため、禁酒をお願いします。Q19.
治療中は入浴できますか?開く+A19.
治療中も普段通りに入浴していただいてかまいません。照射部位の皮膚は炎症が生じ軽い日焼け状態になっていますので、刺激に対し敏感になっています。入浴の際は、熱湯に長時間つからないこと、照射部位をこするなどの強い刺激を与えないように注意してください。
また、温泉・サウナ・岩盤浴・海水浴・プールに関しては、治療中や治療直後は避けられることをおすすめいたします。照射部位の炎症が改善してからゆっくりお楽しみください。Q20.
インフルエンザの予防接種を受けてもかまいませんか?開く+A20.
インフルエンザの予防接種を希望される患者様は、必ず事前に担当医にご相談ください。Q21.
治療が終わればがんは消えますか?開く+A21.
がんの種類にもよりますが、重粒子線によってダメージを受けたがんは時間をかけて徐々に縮小していきます。
治療中に効果がわかることもありますが、治療効果がでるまでにある程度の時間を要します。
そのため、治療後は主治医と当センターにて定期的な経過観察を行います。Q22.
治療の効果はどのように判定するのですか?開く+A22.
治療の効果判定方法は、主にCT/MRI/PET-CT等の画像検査、診察所見、血液検査(腫瘍マーカー)、患者様ご自身の自覚症状の改善が挙げられます。
治療の効果は1回だけの検査で判断できませんので、治療後も1~6ヶ月毎の経過観察を当センターにて行います。
費用・会計について
Q1.
診察費の支払いは現金以外でもできますか?開く+A1.
現金以外に、次のクレジットカード(VISA/MasterCard/JCB/American Express等)及びデビットカードがご利用できます。
Q2.
保険診療による重粒子線治療の場合、治療にはどのくらいの費用がかかりますか?開く+A2.
保険診療による重粒子線治療の場合、重粒子線治療の医療費についても通常の医療と同様です。自己負担割合に応じて1-3割の自己負担が必要となります。(※2018年4月1日時点では、切除不能な骨軟部腫瘍(骨や筋肉、血管、皮下組織などの軟部に発生する腫瘍)、限局性前立腺がん、頭頸部のがんの一部は、公的医療保険の適用です。)
保険診療においては、「高額療養費制度(ひと月に支払う医療費が高額になった場合に、お支払いいただく額を、決められた上限額までにとどめる制度)」が適用になります。
(※先進医療は保険適用外です。)
あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受ければ、医療機関の窓口に提示することで、医療機関毎にひと月の支払額が自己負担限度額までとなります。(上限額は、個人もしくは世帯の所得に応じて決まっています。)
高額療養費制度に関しては、厚生労働省のホームぺージまたはご加入の保険者にお問い合わせください。ご加入先はお持ちの被保険者証でご確認ください。
・健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合
・国民健康保険組合
・各都道府県の後期高齢者医療広域連合
・お住いの市町村(国民健康保険担当、後期高齢者医療担当)
Q3.
保険適用ではない場合、重粒子線治療の照射技術料はいくらですか?開く+A3.
先進医療の場合、重粒子線治療の照射技術料は314万円です。
自由診療の場合、重粒子線治療の照射技術料に関しては314万円+消費税になります。
その他
Q1.
施設内に駐車場はありますか?開く+A1.
ございます。ただし、数に限りがございますので、当センター内の駐車場が満車の際は、近隣の駐車場をご利用ください。Q2.
施設内に売店やATM等はありますか?開く+A2.
当センター内には飲物の自動販売機はありますが、売店、ATM、喫茶店等はございません。Q3.
近くに宿泊施設はありますか?開く+A3.
当センターの近隣には、宿泊施設がございます。
宿泊の手配は行っておりませんので、患者様ご自身でお願い致します。Q4.
車いすを借りることはできますか?開く+A4.
来院時に車いすが必要な場合、受付にお申し出いただき、お帰りの際に再度受付にお声かけください。(※車いすは数に限りがございますのでご了承ください。)